「家族の幸せをつくる」こと

「10人が集まるLDK」と「バーベキューができる庭」がスペース的に確保されればOKというわけではありません。大事なのは、楽しい時間が過ごせること、心地いい場所になること。面積的にどちらもゆとりはないので、気持ちがあがる為の工夫が必要です。

LDKでは、家具などの配置を色々移動しても使えるよう考えました。家具配置が変わると空間も変わります。人数に合わせて食事用・遊び用、晴れの日・雨の日、気分やシチュエーションによって様々な変化が生まれて楽しくなりそうです。

庭では、屋根の掛かる玄関ポーチもテラスとして一緒に使えるよう配置し、日陰になるスペースを設けました。また、潤いと季節感、時間の流れが感じられるように植栽を施しています。

そして多くの人の滞在を意識して、誰もが落ち着いて寛げるようシンプルでくせのない内部空間としながらも、Hさんたちの個性を引き立たせるための飾り棚や床の間のようなスペースをつくりました。

“家族"には定義がありません。法律でも扱われていません。それぞれが大切に思う人(動物も)が、“家族"になるんだと思います。

そして、“家族"の幸せのひとつに、「集まって一緒に食べる」ことがあるのではないでしょうか。

小針の家Ⅲの仕事を通して、“家"をつくる者の役割は「家族の幸せな時間をつくる」ことなんだと、改めて感じることができました。