河渡の家
だんちがいを楽しむ暮らし
規模・条件----------
新築:2022年11月竣工
建築地:新潟県新潟市東区河渡
敷地面積:154.40㎡(46.61坪)
延床面積:97.72㎡(29.5坪)
構造規模:木造2階建
用途地域:第一種中高層住居専用
道路幅員:南東4.0m
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住宅性能-----------
BELS取得 (Zeh Oriented)
一次エネルギー消費量等級5
耐震等級1
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物見山砂丘の南麓にある住宅街に立つ、ご夫婦とお子さん2人が住まう小さな家
フローリング仕上げの玄関
大きな窓を取り付けて明るくし、廊下と階段に連続させて広がりを持たせ、さらに突き当たりを見せずにその先を想像させて奥への期待感が生まれるよう意識しました。
しかし空間が広がることで冬の寒さが気になるので、土間コンクリートをやめて断熱材を入れたフローリング仕上げとしています。
土足で上がるのですから、丈夫なアピトン材を選びました(トラックの荷台などにも使われる材料です)。
将来フローリングが傷んだ場合でも補修がしやすい様に、接着剤を使わず脳天から釘留めとしています。
リビング
ソファと高さの低いダイニングテーブルを置き、食事も勉強もほとんどのことをこのソファとテーブルで行います。なので、とても大切な要素として捉えていました。
いつもの通り家具屋さんを一緒に巡り、好みのモノ、合うモノを探します。まずはソファから始めたのですが、なかなか決められず時間が過ぎていく中、テーブルがこの家の中心(図面の通り)になるのではないかと思えて、テーブルを先に固めていくことにしました。求心力を持ち長く使える愛着の湧くものが欲しい、、、。
という事で付き合いのある家具作家・ISANAさんを紹介しました。話し合いを重ねてみたところ、こちらでテーブル製作を依頼することに。手入れをし、味わいを深めながら、この居間にあつまる家族の中心に在り続けてくれること間違いなしです。
家具も、インテリアとして床や壁、天井と同じようにとても重要です。
実際にオーダーしたテーブルとソファが置かれた様子
S.H.Sさんで選んだソファは、マスターウォール製。
キッチン
「オープンなキッチンではなく、少し籠る感じのキッチンを」という要望から少し独立性を持たせています。子育て世代では、対面型でオープンなキッチンを求められることが多いので、あまり目にしなくなったタイプでしょうか。
料理の作り方、家族との距離感、向き合うことの良し悪し、来客時のこと、外の風景、、、
考えることは様々あります。
また、キッチンとリビングを仕切りながらも広がりが欲しいので、壁の上部を欄間のように開けて天井を繋げています。
畳の間
リビングとダイニングがセットになるので、一つの広めの空間で足りそうなのですが、、、居場所がもう一つ欲しいと思ったことと、奥様から「キッチンの奥で一休み出来たら」という要望もあり、リビングとキッチンの隣に小さな和室を設けました。一石二鳥な感じです。
座卓を置けば客間や書斎に、布団を敷けば寝床にもなるので、3帖の畳の間は万能でとっても優秀です。
この家では特に「畳の間がある」というだけで少し気持ちも満たされるように思います。
物理的なゆとりと精神的なゆとり。この二つのゆとりが心地よさにつながることを期待しています。
また、ここにはキッチンと水廻りを結ぶ裏動線を設けました。小さなワンフロアがほぼ回遊できるので、育児や家事以外でも何かとうまく使えそうな気がしています。
洗面脱衣室
来客時にはトイレだけでなく洗面も使ってもらえるよう配慮しました。
植物や飾り物が置けたり、少し演出が出来るくらいのゆとりを持たせ、見せたくないものが片付けられるよう収納を設けてあります。
また、脱衣室とスペースを分けることが出来たので、床は水のことをあまり気にせずにフローリング仕上げとしています。
階段と2F洗濯室とWIC
この家は小さな洗濯室を2階に設けました。
小さな敷地や小さな家の計画で難しいのは室内干しのスペースです。1階と2階が同じ面積の、いわゆる総2階となればなおさらです。
LDK(1階)をなるべく広くしたいと思うと、物干しは別の階(2階)に持っていかざるを得なくなります。
洗濯機と物干し場は近いに越したことがありません。であれば、2階の物干しスペースに洗濯機を入れてしまおう、というのがこの家の洗濯室の経緯。窓を開ければ外干しも出来ます。
2階のクローゼットに近いので、洗う→干す→仕舞う、という洗濯動線が整いました。
子供室
子どもたちの部屋、小さいうちは一緒に使えるよう10帖のワンルームに。
大きくなったら、共用のスペース(勉強用)が4帖、それぞれの個のスペースが3帖ずつに仕切れるようになっています。
生活をしながらの間仕切り工事はなかなか大変なので、少しでも簡単に施工が出来るように下地として天井には無目鴨居を設えています。
主寝室
寝るための部屋と割り切った6帖の寝室。大きなベッドでなければ椅子程度は置けるため、当初の照明計画を変更し、ペンダントを吊るせるようにしました。
部屋を広くしたいし、収納もたくさん欲しい、そうすると当然領域のせめぎ合いになります。
面倒ですが自分たちの持っているものを確認して、生活を見つめることが大切です。
「広めの納戸があれば大丈夫」が一番危険かもしれません。
出来るだけキレイにしておきたい1階は、それぞれの場所ごとに収納を設けました。玄関にはご主人の工具箱と外作業の道具。居間には子供たちのオモチャや本など洗面にはタオル類や洗剤のストック、掃除機などの清掃用品を。畳の間には飾り棚兼用の収納棚を設けました。
収納をしっかり考えることで小さなスペースでも気持ちよく過ごせます。
メインの窓
- 外(風と太陽と庭)との関係 -
[風について]
透明窓には大抵カーテンなどのスクリーンが取り付けられます(障子などの建具を入れる場合を除いて)。日中もレースなどの薄いものが掛けてあります。
夏に風を入れようと窓を開けると、それがヒラヒラするのでなんだか落ち着きません。そこで、スクリーンを使わない窓を考えてみました。横ラインのルーバー窓(型ガラス)に縦ラインの木製格子を取り付けて、目隠しをしながら風を入れるという方法です。
[太陽について]
夏の強い日射しを内側のスクリーンで遮っても熱は入ってきます。
日射し(熱)を外側で遮ることが出来るように、窓外に簾やメッシュカーテンなどを取り付けるための幕板を設けました。寝室の窓外の幕板は、小柄な奥様も同様の作業が出来るように、上段は当初の予定より低めに取り付けました。プロポーションはいつも大切にしています。ですがここでは、住人の使い勝手を優先しました。
[庭について]
窓辺にカウンターを設けて、庭を身近に感じられる居場所をつくってみました。椅子をテーブルの反対側に向けて、庭や外の風景を眺めながら読書やコーヒーを楽しみます。
外観について、いつも思っていることが二つあります。
一つは、"外はみんなのために"ということです。向こう三軒両隣り的なイメージで、周りの家たちと仲良くなれたらいいなぁ、という思いから。
この計画はそれに加えて、前面道路を行き交う人が多いため、その人たちにも優しくできたらと考えました。
もう一つは、我が家に帰って来たときに"「イイ家だなぁ」と思えるようにしたい"ということです。仕事や学校から帰ったときに、ホッとできたり安心できたり、気持ちの切り替えが出来たらいいなぁ、という思いから。
窓からもれる明かりとか、アプローチやポーチの設えとか、心が動くような仕掛けが欲しいといつも考えています。
愛着が持てるというのはそういうところから始まるような気がします。
親しみやすい三角屋根も、優しい表情のポーチも、手の込んだアプローチもそんな二つの思いが込められています。
設計・本文:渡辺 義行
全体計画・撮影:佐藤 拓生
工程---------------
相談~
土地決定:2021年6月~2022年1月
設計期間:2022年1月~2022年7月
工事期間:2022年6月~2022年11月
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